昨年も、天の川は願いを叶えてくれませんでした。 そんなどんよりとした思いを抱きながら相変わらず笹の葉に短冊を吊るしていく。その内容はどれも同じ。同じ内容がもっさりと笹に吊られているものだから、それを見た人は一様にぎょっとしたような表情を浮かべ、続いて哀れんだ眼差しを私に向けてくる。仕方が無い、だって私だって私自身が可哀相だと思うから。 「だからお星様、ちょっとぐらいは願い叶えてくれたっていいじゃないかコノヤロォォォオー!」 「なんだ、願い事あんなら俺が叶えてあげましょうかィ?」 「出たっ、諸悪の根源!」 叫んだ背後から気配もなく近づいてきたサディスティック星の王子様、もとい諸悪の根源、沖田総悟。びしっとヤツに人差し指をつけつければ、その指をぽっきり、と後ろへ逸らそうとする。慌てて人差し指を自身へひっこめる。 「のっけから何するんだコノヤロー」 「のっけから人を指差すからだコノヤロー」 ムカつくことに人の言い真似をして返してくる。しかも棒読み、しかしぽっきりいけなかったことに内心面白くないのか、表情にはその色がありありと浮かんでいる。 「つーか何でこんなに短冊吊るしてるンすか?こんだけ吊るしたって織姫と彦星は二人でイチャイチャするのに忙しくて他人の願い事なんざ叶えてくれませんぜ?」 「アンタの言い方、何か妙に腹立つ。つーか勝手に見るな…!」 ヤツがその一つを手にとって内容を見ようとするのを阻止しようとするも、運動能力はヤツの方がはるかに上だ。軽くかわされた挙句デコピンを食らい、それを痛がっている間に文面を読まれる。 「『どうかドS男が少しでもまともな人間になりますように』?」 「…読まれたからは仕方が無い。この際だからはっきり言っておく。アンタ、少しまともな人間になれ」 「俺ほどまともな人間なんざいないと思いますぜぃ?」 「どの口が物を言う!?総悟がまともだったら私は神になれるよ!?」 「そんじゃ俺は大魔王で」 「いやいやいやいや、そーゆー問題じゃなくて。…アンタがドSなのは一万歩譲って認める。つーか認めるとかそういう以前にそうなんだから仕方が無いんだけど…。だからせめて、もう少し人に優しくしようよ。『人に優しくされたとき 自分の弱さを知りました』って歌あるじゃん」 「懐かしい歌ですぜ。ついでに歌詞、間違ってやす」 「ぐっ…。そ、そんな細かいことはどーでもいいの。とにかく、私が言いたいのはちょっとは優しくなれってこと!」 一瞬くじけそうになったものの、最後まで言い切ることができた。ぜーはーぜーはーと肩で息をしながら相手の出方を待つ。相手はというとこちらの暑さとは反対に涼しい顔で私を見ている。 「……何かいいなさいよ」 「何か」 「違ーう!そうじゃなくて、」 「その歌の続きにこうありやすぜ?『流れゆく日々その中で あなたへの思いは変わらない』って。…俺の、を想う気持ちは変わらないンすけど」 「ばっ!ちょ、ろろろ論点が違っ…!」 「それとも何ですかィ、俺のこの気持ちを変えてもいいってことですかィ?」 「そ、それは…」 ぐぐっと言葉が詰まる。もごもごと口の中で言葉が踊っているとニヤニヤと愉しげにこちらをみる総悟。それが酷く憎らしい。こちらが何を言うのか分りきっているのに私の答えを待っているのだ。言わそうとしているのだ。 「(ドSめ…!)」 「で、答えは?」 「……………さい」 「はい?」 「うるさーい!やっぱアンタなんか嫌いだぁぁああ!!」 「うっわ、」 土から生えている笹をずぼっと抜き、それを総悟目掛けて振り回す。慌ててそれを総悟はよけて逃げるが、その後をは人間離れした腕力と脚力で追いかけていく。その笹が、総悟の頭にぶつかったかどうかは分らないが、笹から外れた一枚の短冊が風に乗って流れていった。 『総悟とずっと一緒にいられますように』 歌:MON/GOR/800「あなたに」 |
もうすぐ沖田の誕生日ですね。 てことで、ウチでも祝ってみました。祝ったついでに、もしよかったらですが夏人さんにあげます。もちろん、いらなかったら見なかったことにしてスルーしてください。何事も無かったかのように普通に展示しておきます。 夏人さんをイメージしたので、若干総悟が年上に対する対応をしていますが、まあ総悟なんでこれぐらいでいいんじゃないんでしょうか?(!)(つーか普通に調教済みとか…)(アイタタタだろ自分) とりあえず、ハッピーバースディ、永遠の19歳!(多分) |