「うがーー!!」
ぴりっ、と紙に破れ目が入った。
相談する相手を間違えると
エライことになっちまうんだよコノヤロー
「なぁに叫んでんでィ、」
「だってだってだって!! ウチの親ったら『携帯なんぞ早すぎる』って言うんだよ!?
私もう18だよ!? いまどきの高校生が携帯持ってないっておかしくない!?」
そう一斉には言い、はあはあと肩で息をした。
それをみて総悟は「またか」と再び手にしていた本に目を向けた。
「ちょっと、何その薄い反応は?」
「だってのそのグチを聞くの何度目だと思ってるんでィ。高校入ってから・・・」
ひーふーみー、と指折りしながら総悟は数えていく。
「覚えてないぐらいでさァ」
「うん、私も覚えてないぐらい叫んでると思う」
すとん、と総悟の隣に座って大きなため息をつく。
総悟は本を再び机の上において、に向き直った。
「今更だけど、二十歳になるまであきらめたら?」
「う〜・・・、それでもまだあと2年もあるんだよ? 長いよ・・・」
「今まで別にさりとて苦労してねぇんだし、あと2年も同じさァ」
「・・・それは総悟の意見だよ」
連絡する手段がない(実際にはの家の電話にかければいいが、それは面倒らしい)ので、総悟は何の前触れもなく、の家にくる。
家にくるだけだったら特に問題もない。
気がつけば、自分の部屋の窓の外におり(2階、ベランダなし)、気がつけば、いつの間にか自分の部屋に入っている。
そのたびには悲鳴をあげそうになるのをなんとか耐えている(ため息は出っ放しであるが)
「それにほかの友達にも迷惑かけちゃってるしさ」
ふぅ、と机にうつぶせになっては今までの苦労を思い出している。
それをみていた総悟はふと何か思いついたかのような表情を浮かべた。
「ひとつ、手はないことなないけど・・・」
「えっ、何々!?」
がばっとは起き上がり、きらきらとした笑みを浮かべて総悟をみた。
そしてにっこりと、総悟は微笑んで口を開いた。
「俺と結婚すればいいさァ。そしたら成年擬制で成年とみなされる。契約書に保護者のサインはいらなくなりまさァ」
「・・・・・・・はぁ?」
「うん、これはいい考えじゃねーか。
よし、。今すぐ区役所にいくとしまさァ」
がしっとの手をつかんで、今にも駆け出しそうな総悟。
「ちょちょちょ・・・
携帯も許可してくれない親が結婚に同意してくれるかァァアア!!」
「ちょっくら気ィ失わせて、サインさせたらいいさ。
籍入れちまったもん勝ちっていいまさァ」
いけしゃあしゃあという総悟に、はそれ以上何も言うことができなかった・・・
その後、彼女が無事携帯を手に入れることができたかどうかは、定かではない・・・・・