33.季節はずれに歓迎会
「あ〜、ちょっと遅くなったがちゃんの入隊を歓迎して〜「「「「乾杯!」」」」
会議中の屯所の大部屋に、見慣れない服を着た見知らぬ女が迷い込んでからひと月余り。
いまさらという気がしないでも無いが、ようやく予定を開けて今日は彼女の歓迎会。
と、言う名のただの宴会。
いまさら自己紹介も挨拶もいらないほど彼女は真選組の一部になってしまっている。
主役のさんは近藤さんの隣で、開始の挨拶をする近藤さんとそれを遮る隊士たちをはにかみながら眺めている。
乾杯の音頭と共に手にしたグラスを呷る。
グラスを満たしていた黄金色の液体は吸い込まれるように姿を消した。
なかなかの飲みっぷりだ。
自分のグラスを空けると、グラスとビール瓶を持って近藤さんのところに寄っていく。
近藤さんのグラスを空けさせ、並々と注いで小さく乾杯。
そういう店にも行かず、屯所で女がお酌して回るなんて初めてで。
だらしなく頬を緩ませた近藤さんと何やら言葉を交わして次は反対隣の土方さんの元へ向かった。
空気も読まず、初っ端から焼酎なんか飲んでいる野郎にビールなんて持っていっても無駄だから、早くこっちに来ればいいのに。
素っ気なくビールを断られたさんは諦めず、それならば、と土方さんの焼酎で乾杯した。
意外な行動とその飲みっぷりに土方さんの目が点になっている。
順番から言って次は一番隊隊長である俺の番。
予想に違わず、一直線に俺の前にやってきた。
「総悟くん、乾杯しよう」
「さん、そんなに飲んで大丈夫ですかィ?」
「なにが?―――あっ!総悟くん未成年じゃん。ジュース持ってくるね」
「いりやせんて」
ぽん、と手を打ちせっかく下ろした腰を上げて立ち去ろうとするのを急いで引き止める。
「子供扱いは止めてくだせィ」
「子供扱いってか法律違反でしょ。あれ?こっちではお酒は20歳になってからじゃないとか?」
「いえ、20歳からですぜ」
「・・・・・・おまわりさ〜ん」
半眼で呆れるさんにグラスを差し出し、注いでもらう。
コップの縁ギリギリ一杯まで満たすと交代して俺から返杯。
カツンと音を立てて、グラスを合わせたかと思うと、一気にさんのグラスは空になった。
「いい飲みっぷりですねィ」
「そお?」
「んな飛ばして平気ですかィ?」
「こんなの飲んだうちに入んないよ」
確かにビール3杯に焼酎1杯空けた後とは思えない。
いつもより多少テンションが高いかな、とは思うけどそれも自分の歓迎会なら当然かも知れない。
それじゃ次行くね、と二番隊の方へ向かうさんを全員に酌して回ることねェですぜ、と止めたが、それが私の役割だから、とにっこりと袖にされた。
結局さんは全十一隊と杯を交わした。
隊長以下の隊士にはすでに潰れてしまっているヤツもいる。
そして、今は監察の所で山崎としゃべっている。
―――心持ち、長い。